世阿弥の本「風姿花伝」を読みました。
世阿弥は室町時代初期の猿楽師で猿楽(現在の能)を父の観阿弥とともに大成した人です。
700年前から伝統芸能が受け継がれ、現代でも一線で芸能として認められている例は世界でも珍しいそうです。
なぜ世阿弥の風姿花伝かというと、風姿花伝が芸能に関する古典だからです。
バンドにも応用出来るヒントはないか?と思い読んでみました。
以下、ウィキペディアからの引用です。
観客に感動を与える力を「花」として表現している。少年は美しい声と姿をもつが、それは「時分の花」に過ぎない。能の奥義である「まことの花」は心の工夫公案から生まれると説く。
・・・
バンドって若い世代が人気を博しやすいです。
おじさんバンドなんて受けないものです。
特に人気商売、見た目も楽しんでもらうバンドの世界は若い世代が有利なんですね。
でも若い世代が受ける、それは世阿弥に言わせると「時分の花」にすぎないわけです。
そりゃー若い時はだれだって受けるけど、そんなの当たり前でその時期を過ぎた時に何が残っているか。それが重要だと700年前におっしゃっているわけです。
すげー。今でも十分通用するお話。
で、世阿弥はどうするかというと「よいもわるいもなかりけり。見る人の水に合わねば」
ようするに生き残っている人はその時時の流行に合わせてやっているということ。
ビーズの松本さんも「最近の曲の傾向としてギターソロが長めになってきているので自分もそうしています」といっていました。
大衆迎合?オリジナルがなくなる?
逆です。人と同じことをやってもオリジナリティを感じられることのほうが本当のオリジナリティなんじゃないかなあ。
エリック・クラプトンもポール・マッカトニーもサザンオールスターズも、何十年と音楽活動を続けている人はその次代にあった曲を作り続けていて、なおかつオリジナリティもあります。
色々な時代でお客さんを掴み、息の長い活動を続けている。
だからライブには70年台にファンになった人、80年台にファンになった人、最近ファンになった人、色々な世代の人が来ています。
最近ファンになった人は昔のアルバムを掘り下げて聴いてみると新たな発見があるし、昔ファンになった人は新しいアルバムで新たな発見をする。
エリック・クラプトンは「自分の強みは一回のライブでロックに行ったり、ボサノバに行ったり自由自在なところ」と言っていました。
時代に合わせると色々な挑戦も生まれるし、曲調も広がるし、いいことが多いと思います。
ちなみに・・・
尊敬する音楽プロデューサーの大滝詠一さんが仰ったこんな言葉を知りました。「音楽に良いも悪いもなかりけり、聴く人々の耳に合わねば」。
大滝詠一さんも世阿弥の言葉を引用しておっしゃっています。
今流行の四部打ちのバスドラムにしてみる、お客さんも歌える単純なメロディーを「Ohー」などで作る(シングアロングと言うそうです)、など、今の傾向のアレンジってありますよね。
世阿弥は700年前の人ですが、こんなところにもヒントが転がっています。
ぜひ、一読を。