ベースって指弾きがすべてだと思っていませんか?

実はピック弾きで素晴らしいベーシストって結構いるのですね。
そのパイオニア的存在がキャロル・ケイという人です。

キャロル・ケイは1960年代に活躍したベーシスト!

キャロル・ケイってご存知ですか?

1960年代に活躍した女性のべーシストです。 かっこいいグルーヴ感で有名な、モータウンレーベルで、相当な数のレコーディングに参加したそうです。

また、ローリングストーン誌で2020年史上最高のベーシスト50の中で5位(!)に選ばれています。

ローリングストーン誌「2020年史上最高のベーシスト50」↓

https://rollingstonejapan.com/articles/detail/35145/1/1/1

1935年生まれなので、87歳(2021年時点)ですね。

ミュージシャンの両親の影響でギターを始め、プロのギタリストとして活動しました。

1963年のある日、ベーシストがレコーディングに来なかったため、急遽ベースを弾いたそうです。

以上キャロルのホームページを参照しました。

キャロル・ケイ 公式ホームページ↓

http://www.carolkaye.com/index.htm

一説によると、ジェームス・ジェマーソンが弾いたことになっているプレイも、本当は彼女が弾いたものらしいです。

しかし過重労働を防ぐ労働組合の取り決めなどにより、あまり記録が残っていません。相当レコーディングしていたらしいですが、記録に残すと過重労働で問題になるので、残さなかったのですね。しかも本人は1970年代に入り、教育活動に力を入れました。

そのため、最近までその活躍が知られていませんてした。最近になってとある映画に異議を唱えて、表舞台に出てきました。

アカデミー賞を受賞した映画『永遠のモータウン』だった。作中、ハリウッド録音の楽曲がデトロイトのハウスバンド、ファンク・ブラザーズの演奏として紹介されたことに異議を唱え…

ウィキペディア「キャロル・ケイ」より引用↓

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%AD%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%82%A4

キャロル・ケイの名言

「ベースこそが土台なの」というキャロルの言葉にはとても勇気づけられます。

キャロル・ケイが参加したレコーディング

キャロルは、さまざまなセッションやレコーディングに参加しています。

公式ホームページにあるのは

  • ビーチボーイズ
  • レイチャールズ
  • ザライチャスブラザーズ
  • ジョニーマティス
  • ナンシーシナトラ

などそうそうたるアーティストのレコーディングに参加したようです。

また、映画音楽にもクレジットされています。

  • ミッションインポッシブル
  • ブレイディバンチ
  • アダムスファミリー

などなどです。

いずれもキャロルのホームページを参照しました。

キャロル・ケイのセッティング

キャロル・ケイはフラット・ワウンドの弦を使い、ブリッジにミュート用のスポンジをテープで固定して弾いています。

これによりノイズを抑さえられるので、フィンガリング(音程を変える指の動き)の自由度が増します。

このあたり、今の私たちには目から鱗が落ちます。なぜならノイズを出さないようにミュートをしっかりするのが大事、と教わるからです。でもこうやって楽器にノイズを抑える機能を持たせればそれだけミュート以外のことに練習時間を使えますよね。

また、常にブリッジミュートしているようなものですから、アタック音が強調され、サステイン(音の伸び)が抑えられます。なのでベースの音の動きがよくわかるようになります。

だからこのセッティングは、動きのあるベースラインを弾くにはもってこいですね。

ちなみにジェームス・ジェマーソンなんかはブリッジカバーの下にミュート用のスポンジを仕込んでいますね。

それと似ています。

でもキャロルはピック弾きです。

ブリッジカバーが着いていると弾きづらいのでしょう。ミュートスポンジをブリッジにテープで固定して弾いています。

キャロル・ケイの機材

キャロルの機材を見て見ましょう。

◆1960年代のスタジオワークで使用されたベース:

フェンダープレシジョンベース

フェンダーフラットワウンド弦

Fender Concert tone 4-10アンプ

60年代後半からVersatoneアンプ

キャロルのホームページより引用http://www.carolkaye.com/index.htm

アンプに関してはよくわかりません。プレシジョンベースは、世界初のエレクトリック・ベースなので、キャロルが弾いているのも納得です。ジェームス・ジェマーソンプレシジョンベースですしね。

シンプルなプレシジョンベースで、あの頃の多彩なレコーディングを乗りきっていたのですから、さすがですよね。

また、近年の使用機材は

Ibanez SRX700ベース、Thomastik-Infeld Jazz Flatsの弦、GK MB150S-iii Amp、Ibanez RG321、Seymour Duncan Humbucker

Jazz Pickup Alnico Pro II、Thom。

ジャズギターフラット弦など、ジャズ演奏用のフラット弦。

とのことです。

キャロルのホームページより引用

http://www.carolkaye.com/index.htm

キャロル・ケイはフラットワウンド弦を使用

ロックでよく使われるラウンドワウンド弦と違い、芯の周りに巻いてある弦の断面が四角い弦です。

これにより、表面にデコボコが無い、ツルツルした弦になります。フィンガリングやピッキングによるノイズが出にくいのが特徴です。

また、弾いたときの倍音が出にくいです。

なので、ピック弾きでノイズが気になる人は、使ってみてはいかがでしょうか。

キャロル・ケイの弾き方

プレイスタイルはシンコペーションを使いながら、正確なリズムでグルーヴを作っていくものです。この正確なリズム感というのがこの人のミソです。

また、元々ギタリストのため、和音を効果的に使うのも特徴です。

和音を使う辺りは、ピック弾きベーシストの面目躍如といったところですね。

またフィルインでは、リズムが狂わずに、スムーズに音が繋がります。

ミュートをかけたセッティングと相まって、ポコポコとした音が心地よいです。

ブルースを基本として、ファンキーなリズムをつむぎます。

なんか、ピックでここまでやってくれると、ほとんどピック弾きしかできない自分でもいいんだ、と思えます。

キャロル・ケイのお陰でピックの可能性が広がった!

キャロル・ケイがここまでピックで聴かせてくれると、ピックもまだまだ捨てたものじゃない、と思えます。

結局プレイヤー次第なんですね。ジェームス・ジェマーソンのプレイと思っていたのもキャロル・ケイだとは!

指だろうが、ピックだろうが、すごい人はすごい!ということなんですね。

以下、キャロル・ケイのベースレッスン動画(英語)です。