いきなり大胆なタイトルをつけてしまいました。
流行って色々考えると面白いんですね。
前に川上量生さんのコンテンツの秘密という記事にも書きましたが、流行って多くないパターンが繰り返すんですね。
※川上量生さん ニコニコ動画のドワンゴの経営者。以前スタジオ・ジブリに入ったことがある。
以前の記事「コンテンツの秘密」バンドをコンテンツとして考える
https://bassguitarband.com/1032774100/
音楽の流行は繰り返す
音楽の歴史って繰り返すのです。
なぜ流行は繰り返すかと言うと、まず音楽っていうのは音程とリズムの組み合わせです。
音階は7音階、人が分別できるリズムパターンもそう多くはない。
そんなふうに音程とリズムの組み合わせである以上制限があるわけです。
制限がある以上、音楽のパターンってある程度決まってしまうんですね。
そしてパターンが決まっている以上、少ないパターンをその時代の気分に合わせて作っているのが音楽といえます。
ゴテゴテと厚塗りした音楽なのか、それともすっきりした音楽なのか。
あるいは速い音楽なのかゆっくりな音楽なのか。
縦ノリの音楽なのか、横ノリの音楽なのか。
すべて時代の流行の中でいろいろなパターンを繰り返しているのです。
人間がよいと感じる音楽は以下の3つに集約されると思います。
- 人の心を表すメロディ
- 気持ちの良いリズム
- 心をつかむ歌詞
この三つは音楽が音楽である限り、これまでも、これからも変わらない真実だと思います。
なので音楽ってある程度狭い中で、やることが決まってしまうんですね。
それが僕が音楽の歴史は繰り返すと言った意味です。
アリストテレスが言った「コンテンツは色の塗り直し」?
ちょっと私の言葉でのタイトルになってしまいました。
実際のアリストテレスによると
音楽の大部分、これらすべてはまとめて再現といえる。しかしこれらは「異なった媒体」によって「異なった対象を」「異なった方法で」再現している。
アリストテーレス「詩学」岩波文庫 より引用
というものです。
私の解釈は
「コンテンツのパターンは少ないけど、色を塗りなおすと違う作品になる」というものです。
ちょっと乱暴ですが、今のドラマや映画のストーリーのパターンって、ほぼシェイクスピアの時代に出尽くしている、と聞いたことがあります。
ドラマにしてもストーリーのパターンは決まってしまっています。
人間の心が動く現実のパターンって、突き詰めるとそんなに多くない、というのがここでもご理解いただけると思います。
なぜ流行が生まれるのか
それではなぜ流行が生まれるのでしょうか。
それは人間が「飽きる」動物だからです。
流行を時間の経過で見てみると、一つは以下のパターンがあると思います。
- ある音楽が流行ります。
- すると、昔からのファンは「大衆化」を嫌い、離れていきます。
- 流行しすぎて、みんなが飽きを感じる頃、先に離れていたファンがまた新たな音楽を見つけます。
- 新たな音楽が徐々に認知されていきます。
- そしてまた流行が生まれます。
また、二つ目に流行は若い世代の成長によって生まれるパターンが考えられます。
その音楽に共感する世代が音楽業界を引っ張る、ということです。
- 流行した音楽を作ったアーティストが歳をとる、またファンも同じく歳をとる
- 生活が第一になりエンターテイメントにお金を使えなくなる
- アーティストの音楽コンテンツが売れなくなる
- 若い世代から若いアーティストが出てくる
- 若い世代がそのアーティストに共感する
- 若い世代がお金を得るにつれて若いアーティストの音楽も売れる
- 若いアーティストの時代がくる
と、若い人達の成長とともに流行するパターンですね。
やっぱり音楽ってある程度刺激物だと思うんです。
刺激物である以上、昨日と同じ音楽はやっぱり刺激は生まれないんです。飽きますからね。
私ははLed Zeppelin が大好きです。大好きなんですがやっぱりもう飽きてるんですよね。
このように人間ってどうしても飽きる生き物なんです。
だから流行りが生まれ、それが廃れて、また新たな流行りの音楽が生まれるということが繰り返されるんです。
秋元康さんは流行を継続させる天才
そこへいくと秋元康さんはすごいですね。
AKBグループの中でメンバーが新陳代謝(入れ替わる)ことで常に若い世代を引き付けています。
以前は前田敦子さんのAKBグループだったのが、今は指原莉乃さんの時代です。
前田敦子さんが「卒業」したときに「AKBは終わったな」と思ったのですが、そんなこともないですね。
また、メンバーの新陳代謝だけでなく、常に新鮮な企画を持ち込んでいます。
時代背景を常に取り入れ、柔軟にコンテンツを作っています。
これから流行る音楽はこんな感じ
20年くらい前に小室哲哉さんの音楽が代流行しました。
本当にすごく流行っていて CD が一番売れた時期だったそうです。
ところがそれにみんながだんだん飽き始めて宇多田ヒカルさんや椎名林檎さん 浜崎あゆみさんなどが出てきましたね。
宇多田ヒカルさんが火を着けたR & B。
浜崎あゆみさんが流行らせた女性 が自分の気持ちを歌うボーカリストの流れ。
椎名林檎さんの女性バンドボーカリストのような立ち位置。
それぞれ多くのフォロワーを生み出しました。
その後これらのスタイルは定番となりました。
ですがだんだんそれもこなれてきて、今はもう流行りと呼べるものはありません。
ただ流れ的にはやっぱりダンスミュージックの流れが来ているんだと思います。
R & B あたりから始まった音楽とダンス。
あるいはヒップホップなどが持ち込んだ横揺れの気持ちよさ。
そんな感じが進化していま世界では EDM エレクトリックダンスミュージックが全盛です。
この20年、どんどん音楽がリズム寄りになってきていると思います。
メロディーよりもリズムの流れが続いている。
しかし先ほどの「飽きる」理論からすると、今度は感情的なメロディーが流行ってくるのではないでしょうか。
そろそろリズムブームが終わって、メロディーの時代が来るのではないかと思っています。
メロディーと心を鷲づかみにするような歌詞の流れが来るような気がします。
その中で米津玄師さんなどの新しいスタイルのボーカリストが誕生してきています。
米津さんはダンスの要素も取り入れていますが、メロディーの作り込みがすごいです。
「Lemon」のメロディーの組み立て方がすごいと思っています。
出だしから下がったり上がったりするメロディが丁寧にコード感を作っています。
一語一語に別々のメロディを割り当てている感じです。
カラオケの人気曲になっていますが、まともに歌える人はあまりいないのではないでしょうか。
結論としては、緻密に組み立てるメロディがこれから流行ってくるのではないか?と予想しています。