ベースのイコライジングのやり方・使い方を徹底解説!!

バンドサウンドに欠かせないベース。

しかし何をやっているのかわからないのがベースでもあります。

それだけにどんなセッティングをしていいのか、よくわからないことがあります。

私も未だに試行錯誤です。

試行錯誤しているのは

  • 低音をどれだけ出せばいいのか。
  • 中音はどこまで出すのか。
  • 高音はどのレベル?

という部分です。

でも、基本的な知識が入っていたほうが、より正解に近づくと思います。

ベースのイコライジングは以下の3つを基本に発展させる

ベースのイコライジングって色々ありますよね。

つまみが色々あって迷ってしまうかもしれません。

ただ、以下の3つから発展させたほうがまとまりやすいというか、楽だと思います。

つまり

  • 低音中心のセッティング
  • 中音中心のセッティング
  • 低音と高音を出すセッティング

の3つです。

これはもちろん絶対的なものではありません。

ただ、何もないよりは、尺度があったほうが自分の好みの音を見つけやすい、というくらいに思ってください。

上記の3つをもう少し詳しく見ていくと、

  • 低音中心:太くて底辺、ボトムを支えるような音。
  • 中音中心:ランニングベースで、積極的にコード感を出していく音。主に中音域を強調します。
  • 低音と高音中心:ドンシャリと呼ばれる、低音と高音中心の音づくり。ベビーメタルバンドや、人数の多いバンド、スラップをするときにこのようなセッティングにしたりします。

というような感じです。

その他にももちろん色々あると思いますが、大体、低音、中音、高音のどれかを中心に音づくりします。

というより、この3つの音を中心に考えたほうが、分かりやすいと思います。

イコライジングの基本1。まずフラットなセッティングで音を出してみる

イコライジングの基本として、まずはすべてフラットにします。
プラス・マイナスでゼロの状態にしてみましょう。

これで音を出すとどうでしょうか?

ベースだけ鳴らしている分にはこれで十分だと思いませんか?

そうなのです。ベースはもともと太い弦を張っているので、なにもしなくても低い良い音が出ます。

余計な加工をしなくても、よい音が出るように作られているのですね。

ベースの音域確認

ここでベースの音域を確認してみます。

  • E(4弦開放)=約41Hz
  • A(3弦開放)=55Hz
  • D(2弦開放)=約73.4Hz
  • G(1弦開放)=約97.9Hz

このようになっています。

なんとなくベースはこういう音域だ、ということを覚えておいてください。

イコライジングの基本2。フラットからいらない音域を削る

ベースのイコライジングというと、低音を上げようとか、高音を上げようとか、「上げる」発想になりがちです。

そうではなく、下げることを考えてみましょう。

まず引き算することを考えましょう。

ボーカルや他の楽器とかぶる部分の音域をカット

バンドはボーカルが聞こえなければ本末転倒です。(ベースメインのバンドがあってもいいですが!)

そのため、ボーカルの邪魔をするような音域はカットしましょう。

これは厳密にやらなくてもOKです。ボーカルとかぶる可能性がある、ということを念頭においておくと、気をつけるようになります。

また、他の楽器の音をかき消すような音域もカットします。

ベースの場合、ローを出しすぎるとバンド全体の音をかき消すことがあります。

なのでローの使い方には注意が必要です。

音像をはっきりさせるために50Hz以下をカット?!

以前YELLOW MONKEYのベーシストの広瀬さんは以前セッティングについてのインタビューで、「まず低音(ロー)のつまみを下げる」と言っていました。

また「低音(ロー)を下げると、逆に低音が出る」とも言っていました。

これはおそらく、低音を下げることで音がすっきりして、ベースの音がよく聞こえるようになる、ということだと思います。

実際プロのレコーディング現場でもベースの50Hz以下をカットすることがよくあります。

この音階を感じづらい音域を下げることで、ベースの音像がはっきりする効果があります。

もしグラフィックイコライザーを使えるのなら、試してみてください。

先程の項目で述べたように、「Eの音は約41Hz」です。

なので50Hz以下をカットすると、Eの音が聞こえないか、というと、そうでもないんですね。

ベースの弦(というか、ほぼすべての楽器)は倍音という音が出ています。

4弦開放の音を鳴らすと、Eの音と同時にGやBの音などが鳴っている、ということです。

なにもEの音だから、Eの音しか出ていないというわけではないのです。

だから50Hz以下をカットしても聞こえるのですね。(まったくゼロでは無い場合もありますし。)

ハウリングが起きる場合、ハウる音域を下げる

また、ハウリングが起きるときも、その音域を下げることで解消されることがあります。

基本ハウリングはマイクの位置などで対策したほうがいいです。

しかしどうしても無理ならイコライザーで調整しましょう。

やり方は耳を頼りに、イコライザーを一つづつ下げてみます。

ハウリングがしなくなった音域をカット気味にするだけです。

イコライジングの応用。狙った音をブースト!

カットが出来たら、次はブーストすることも考えてみましょう。

いくらバンドのためとはいえ、やっぱりベースの音が客席に届かないのは寂しい!

というわけでブースト編です。

100Hzあたり、中音を上げると豊かな音に!

100Hzあたり、中音域(ミッド)を持ち上げると豊かな音になります。

豊か?というのもふわっとした言葉ですね。

身のある音というか、聞こえやすい音ですね。このあたりの音を上げるとベースが前に出てきます。

なのでベースを前に出したいときには、このあたりを少しづつ上げて調整してみましょう。

ハイ(800Hz~2kHzあたり)を上げると華やかに

ハイ(800Hz~2kHzあたり)を上げると弦を弾く音やフレットノイズが出てきます。

華やかな音、という感じです。また、ここを上げるとスラップのプルも強調されます。

上げすぎると耳障りになりますので、少しずつ上げてみましょう。

ブーストに関しては以上になります。

ちなみに亀田誠治さんのイコライジングは?

亀田誠治さんという、プロデューサーでベーシストがいます。

この方は「プレシジョンベースでバキバキの抜ける音にするにはどうすればよいでしょうか?」という質問に

耳を信じろ!…ヒント60Hz、4KHz、8KHzと仲良く☆」

と答えています。

亀田誠治さんのセッティングについては以下のページを参照ください。

亀田誠治さんのセッティング、ベースや機材、音づくりなど

画像をクリックすると、Amazonのページへ飛びます。

上記のベース用イコライザーを使うと、一番左端の音域を少し上げる、イコライジングの一番右と、右から2つ目の音を少し上げる、ということでしょうか。

前述のレコーディング時のイコライジングの考えとは少し違いますね。

それだけイコライジングには色々な考え方があるということですね。

なぜイコライジングで音を整えるのか?

それではなぜイコライジングで音を整えるのでしょうか。

ウィキペディアによくまとめられていたので、引用します。

イコライザーを使って、音声信号の特定の周波数帯域倍音成分や高調波成分あるいはノイズ成分)を強調したり、逆に減少させる事ができ、全体的な音質の補正(平均化)や改善(音像の明確化など)、あるいは積極的な音作りに使用される。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%BC_(%E9%9F%B3%E9%9F%BF%E6%A9%9F%E5%99%A8)

ウィキペディア「イコライザー」より引用

イコライジングは音を整えたり、個性的な音にしたいときに使うのですね。

私はバンドにおいてイコライジングは、バンドで音合わせすると、音がぶつかるから使う、と思っています。

音がぶつかるとどうなるか

そうなのです。単体ではよい音でも、他の楽器が鳴っていると、ベースが聞こえなかったり、逆に聞こえすぎたりするのです。

そしてせっかくのバンドの美味しい音が、ベースによって掻き消されてしまいます。

理想的には、ベースとギター、ドラムが被らないようにすることです。

なによりボーカルの音域を開ける必要があります。

よくバンドの音が大きくて、ボーカルが叫ぶようにして歌っているバンドを見かけます。

これだと喉を壊しますし、聴いていて歌詞が伝わりません。

というわけで、ベースの音は

  • 他のパートの邪魔をしない
  • しかしちゃんと聞こえるようにする

必要があるのです。

イコライザーの種類

一般的にイコライジングは以下のようなものがあります。

パラメトリックEQ(イコライザー)

一般的なアンプに搭載されているイコライザーです。

ロー・ミッド・トレブルのつまみの、あれですね。

グラフィックEQ(イコライザー)

文字通り、視覚的にわかりやすいEQ(イコライザー)です。

20Hz ~20kHz(機材によって違う)をいくつかに分割したイコライザーです。

こちらのほうがより細かいセッティングが出来ます。

ベースのイコライジングのまとめ

というわけで、ベースのイコライジングについて考えてみました。

まとめますと、

  • 人間の耳には聞こえない低音域を削るとスッキリする
  • 中音域を上げるとベースが前に出てくる
  • 高音域を上げるとニュアンスがでる。やりすぎると耳障りな金属質な音になる

というわけで、色々書いてきました。結局自分で試行錯誤してやっていくしかないです。

ただ、前述したように、闇雲にやるよりは尺度、というものを持って音をいじったほうが、より正解に近づけると思います。

頑張ってください!!

【参考】レコーディングの場合のイコライジング

レコーディングでDIを使った場合は音程がくっきりと聞きやすくするのが目標です。そのため、いらない音域は大胆にカットする場合もあります。

※こちらはあくまでもレコーディングでダイレクトに録音された音作りの参考にしてください。

カットする音域

  • 520Hz以上
  • 50Hz以下

上記の音域はすべてカットしてみます。

ブーストする音域

ブーストする音域は以下を試してみてください。

  • 260Hz(音を太くする)
  • 730Hz(ニュアンスを足す)
  • スラップの場合は2kHzあたりの中域

上記を意識してみてください。

なんかホントかなあって感じなので、参考までに。

イコライジングに関してはサウンドハウスのページも参考にしてください。

参考リンク:「サウンドハウス 最強イコライジング」(pdf)